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【番外編】時代は「パーソナル」や「ローカル」へ、変わりゆくアパレルを読む|hacroオーナー 鈴木 雄大さんにインタビュー


今回は、愛知県刈谷市に店舗を構えるレディースアパレルのセレクトショップ「hacro(ハクロ)」のオーナー、鈴木 雄大さんへのインタビュー。hacroはRenameとコラボ企画をおこなったこともあり、Renameとの繋がりが強いお店です。


Rename meets番外編ということで、“食”ではなく“衣”にスポットを当てましたが、“つくり手の想い”という点ではやはり共通しています。


そして、鈴木さんから見たアパレルの過去、現在、そして未来。それは非常に学びのあるお話でした。


「一度切りの人生だから好きなことをやる」そしてhacroが生まれた

ーhacroを始めた経緯を教えてください。


鈴木:もともと服が好きでセレクトショップへの憧れはあったものの、大手志向が強かったため、名古屋の百貨店店員に新卒で就職して7年間勤務しました。


その後、職場で出会った妻との結婚を機に、安定した職を求めて自動車部品の商社に転職。しかし、業界と職種の大きな変化に心と体のバランスを崩し、休職してしまいました。


ーそこからどのようにして、起業するモチベーションになったのでしょう?


鈴木:休職して数ヶ月が経つと、徐々に英気を取り戻して「人生一度切りだし、好きなことをやってみよう」という気持ちに自然と切り替わったんです。


そこで、 妻に冗談半分で「いっそ2人で服の店でもやろうか」と言ってみたんですね。そしたら、「それもいいね」とすんなり(笑)。このときの家族の後押しは、本当に大きかったですね。


ーhacroはどのようなコンセプトのお店として開いたのですか?


鈴木:事業コンセプトは『百貨店品質の接客・空間 × ブランド古着』です。百貨店経験のある夫婦が営む、新作の洋服とブランドの古着をミックスした品揃えをしたショップ。それって結構面白いんじゃないかと思ったんです。


また、僕の好きな日本のモードファッションを安価に提供したい、という想いもありました。

「hacro」という名前は、二十四節気の一つ「白露」からとっているそうです。この季節にオープンしたこと、ショップコンセプト「日本の暮らしやものづくりを大切に」から、日本語に由来する名前にしたかったことが理由。ロゴや什器デザインも「白い露」をイメージしています。



ー良ければ、事業戦略も教えていただきたいです。


鈴木:hacroが立地する刈谷市の土地柄がポイントです。人口が多いわりにアパレルショップが少なく、名古屋へのアクセスの良さから「服は名古屋で買う」人が多いんです。


そこで、名古屋での買い物がしにくい子育て世代に対して、名古屋のショップと同等以上の買い物体験を提案しようと考えました。 すると、予想を遥かに上回るニーズがあり、私自身も驚いています。

オープン後は毎月のようにイベントを企画。鈴木「お客様を飽きさせないだけでなく、お客様同士が繋がっていくように。hacroという場所が、人と人とを繋げるハブになれば」



服は信頼や共感、感動の共有ができるコミュニケーションツール

ー鈴木さんには、アパレルの過去と現在はどう見えていますか?


鈴木:80年代のDCブランドブーム以降、バブル崩壊やファストファッションの流行、ファッションECの台頭で、商品単価が落ちてきているのは明らかです。しかし、モノの価値がお金の価値を超えれば、高単価の商品でも買ってもらえます。


モノの価値を高めるうえで大事なのは、商品のモノがたりや機能性だけではありません。SNSや広告の見せ方、売っているお店と人間の歴史にまで拡張された商品背景も非常に大事だと思います。


ほかにも重要な鍵は「ネットとリアルの融合」だと思います。よりパーソナルな人と人との結びつきや小規模のコミュニティの中にSNSを織り交ぜていくことが、きっと今は必要ではないでしょうか。


ー鈴木さんは、“服”に対してどのような想いを抱いていますか?


鈴木:日本のモードブランドデザイナーは、すばらしい服をつくり続けてきました。 そういったブランドの服にはトレンドに依存しない普遍的な価値があり、着る人のスタイルを美しく見せてくれる力があると思います。そんな服の価値を周りにも伝えていけたら、と僕は思います。


先日、新宿ルミネで単日の売上歴代最高記録が更新されたニュースでの、ブランドマネージャーのコメントが印象的でした。


「デジタルに頼らず、顧客名簿を充実させたり、DMを丁寧につくったり、スタッフ一人一人が地道に信頼関係を築いてきた。うちには、何万人ものインスタグラムのフォロワーがいるようなカリスマ販売員はいない。だが、広く発信することよりも、狭いコミュニティーの中でいかにお客さまとの“共感”を作れるかが大事と考え実行してきた。」

服を通して人と人とが信頼や共感、感動の共有ができると信じていますし、コミュニケーションツールとして服はまだまだ効果的だと思います。


hacroのサスティナブルな経営のあり方

ーFINEのRenameとコラボしていただけたのはなぜですか?


鈴木:ワールドビジネスサテライトでRenameの特集を拝見し、存じ上げていました。 とても面白い取り組みですし、当店との親和性を感じたんです。


そのため、御社のご担当者さまが偶然にもhacroを見つけてくださり、ご連絡をいただいたときは驚きました。実際にお話してみると理念やファッション観に共感するところが多く、是非ということになりました。


ーRenameのどこに共感しているのか、教えていただけますか?


鈴木:Renameは衣料品ロスという社会問題の提起に始まり、その解決を目標にしているところに好感を覚えます。 また、おおよそ変化のなかったファッション業界の流通や消費のあり方そのものに、一石を投じているように思います。


従来のファッションビジネスでは、時間が経てば価格がどんどん下がっていました。最近は百貨店でもモールでもセールばかりで、これでは服の価値まで下がってしまいます。そんな中で、Renameの取り組みは「服本来の価値を再発見できる機会」を創ってくれていると思います。


hacroも空間づくりと丁寧な接客で販売することで、本質的に価値のある服を提供したいと考えています。そのため、Renameの取り組みにはとても共感できます。

ーありがとうございます。「服の価値を下げない」ことは、アパレル業界のサスティナビリティに繋がりますよね。


鈴木:hacroを経営するにあたっても、サスティナビリティは最も意識しているテーマの一つです。


ー具体的には、どのようにサスティナブルな経営をしていますか?


鈴木: 僕たちが店を構える刈谷市は固定費が少なく、夫婦経営なので人件費もかかりません。また、売れるものだけを少量仕入れることで、ロスも最小限になるよう努めています。


さらに、セールはまったくおこなわず、その分買ってくれたお客様のポイント還元率をかなり高くしています。ほかにも、市内でおすすめのカフェやキッチン、パティシエ、インテリアショップとコラボや相互フォローをすることで、集客率を高めています。


このように、僕たちがやっているのは、地域に根差した昔ながらの商売なんです。そこに新しい商品やIT技術を取り入れることで、サスティナブルかつ先進的な取り組みをしたいです。


hacro、そしてアパレルの未来の話

ー今後のhacroの展望を教えてください。


鈴木:継続したいのは、地域の人たちの認知を増やすことと、hacroらしいラインナップやイベントをより完成させること。


新たに取り組みたいのは、これまでにない異業種とのコラボイベントや、「こういう服が欲しい」というお声を集めてオリジナル商品をつくることです。 直接お客さまと繋がれるセレクトショップの強みを活かして、ニーズを踏まえた商品にしたいです。


もう一つは、新たな店舗の展開も考えていますが、まだまだ先の話になると思います。


ーこれから先アパレルがどうなっていくのか、鈴木さんの見解を教えてください。


鈴木:近年、AIやSNSの発達によって、人々の価値観は大きく変化しています。その中でも、人と人とのコミュニケーションの中で琴線に触れるポイントは、変わらない部分が大きいのではないでしょうか。


また、情報が溢れかえっている今だからこそ、誰からどんな情報を得るかが大事になっています。つまり、不特定多数に向けた発信ではなく、ピンポイントに『あなたのためだけに』用意したサービスが活きてくる。


それに加えて、あらゆるものが飽和状態にある社会だからこそ、「倫理的な行動をしたい」というユーザーの気持ちが、消費の切り口になり得ると思います。

鈴木:また、ネットやSNSの時代だからこそ、ローカルにスポットが当たっているように感じます。どこからでも情報発信ができることで、田舎でも集客がしやすくなり、都会にない価値を生み出せるというのは面白い話ですよね。


いずれにしろ、最近は「1周回って新しい」ことが多くなっているように感じます。 もちろん、最新の技術を取り入れて情報を網羅した上で、ですが。

新規性やオリジナリティを創り出すことは、ほんの紙一重のアイデアだったりしますが、その紙一重に気づけるようになることが必要だと思います。そのために、僕たちもアンテナを強化していきたいです。

* * *


特定の誰かのために服を提案すること。

地元の人のニーズに向き合うこと。


せわしない現代だからこそ、

目の前にあるひとつひとつをきちんとやる。


hacroさんからはそんな姿勢を感じました。

その姿勢が刈谷を中心とした人々に愛される理由なのかもしれません。

▼hacro

住所:〒448-0843 愛知県刈谷市新栄町2-14 中央マンション105

電話番号:0566-89-1844

営業時間:11:00~19:00(定休日:水曜)

HP:https://www.hacro-kariya.com/

Instagram:https://www.instagram.com/hacro.kariya/?hl=ja


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