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ハングが大切にする“食”「シンプルな料理を遊んでお客さんに提案する」|Hang out coffeeオーナー 田口 悠太さん・前編



愛知県一宮市のグルメ通り沿いに立つ白い建物。一見すると倉庫のようなこの建物が、たくさんの人々に愛されるお店「Hang out coffee(ハングアウトコーヒー)」です。





授乳室完備のキッズルーム。おむつ交換、離乳食持ち込みもOKでママにもやさしい環境。



Hang out coffeeのこだわりは、ちょっと珍しくて彩り豊かな野菜たちと、それらを使った手づくりの料理。お店は11時から23時まで営業していますが、昼も夜も店内は賑わっています。


なぜそんなにお客さんが集まるのでしょうか。そこにはオーナー・田口さんのお客さんへの想いと、“食”への強いこだわりがありました。


「お客さまは神様」ではない。だけど、みんなが集まる食堂

ーHang out coffeeはどのようなお店ですか?


田口:カフェというより食堂のようなお店です。見た目はおしゃれな感じで若者受けしそうですが、実際に来てくださるお客さんは小さな子供からお年寄りまで幅広いです。お母さんに連れられて幼い頃から子供が来てくれたり、近所のおいちゃんがコーヒーを飲みにふらりと立ち寄ってくれたりします。


おしゃれなカフェというと、なんだか自分もおしゃれしていないと入りづらいイメージですよね。でも、僕はみんなが気取らずに来れるような場所にしたかったんです。


ーなぜそのように幅広い世代のお客さまが来てくれるようになったのでしょう?


田口:接客のスタイルが固くなく自由だからではないでしょうか。たとえば、なじみのお客さんは「へいらっしゃい!」と軽い感じで迎え入れたり、ご飯食べてるときに「この料理どう?」と話しかけたりします。


なので、Hang out coffeeの接客は“丁寧”ではないのかもしれません。でも、食堂ってそういう場所だと思うんです。「お客さまは神様」のようなスタンスではない。


ー「お客さまは神様」ではない……それはどういうことでしょう?


田口:だれかれ構わず過剰なサービスはしないということです。キッズスペースではない一般席スペースで、子供があまりに騒いでほかのお客さまの迷惑になるようであれば注意もします。


高級イタリアンやフレンチではなく、食堂であるHang out coffeeにとって大切なものは何か。そう考えたとき、サービス精神ではなく美味しくて安心・安全な料理だったんです。


「ハングに揃うのは信頼できる食材、そして料理・スイーツはすべて手づくり。だからみんなが食べられる」田口さんはこう考えます。だから、子供向け・お年寄り向けのメニューはあえて用意していないのです。



“食”は、お客さんとコミュニケーションをとる手段

ーHang out coffeeを始めようと思ったきっかけはなんですか?


田口:自分の人生すべてをかけて、何かをやりたかったんです。


サラリーマン時代に勤めていた会社では、僕を含め社員の多くに協力する姿勢がなく、自分の考えを持とうとしないから責任逃れも多くて。ここで働くのはもうダメだと思って飲食店でアルバイトを始めたのですが、そこでも失敗を人のせいにしたり適当に済ませたりして、結局は自分の責任から逃げていたんです。


そこで、一度すべての責任を自分で負ってみたいと思いました。そうすると失敗しても100%自分の責任だから、言い逃れできないじゃないですか。とにかく自分がどこまでできるのか試したくて、大量の借金を抱えてHang out coffeeを始めたんです。


ー自分を変えたかったのですね。しかし挑戦するものとして選んだのが、なぜカフェだったのでしょう?


田口:一番好きなものが“食”だったんです。好きなものを仕事にすれば、ずっと働いていてもストレスを感じないだろうと思いました。


僕はスタッフにもストレスを抱えて働いてほしくなくて、「頑張らなきゃ」という感覚ではなく、自分の好きなように動いてほしいと思っています。そうすれば、結果的に長く働いてもらえるのかなと思います。


フォロワー2,000人を超えるHang out coffeeのインスタグラム(@hangout.coffee)。ほかのカフェと差別化するうえで田口さんが大事にしているのは、「料理の美味しさ」、そして「SNSを活用した情報発信」だそうです。



ーHang out coffeeでは“食”をどのように捉えていますか?


田口:お客さんとコミュニケーションを取る手段ですね。


たとえばサラダも普通では面白くないので、ちょっと珍しい西欧野菜を使い始めました。すると、お客さんから「これなんの野菜?」とよく聞かれるようになり、会話が増えたんです。


また、お客さんとのコミュニケーションのなかでメニューが改良されたこともあります。Hang out coffeeの人気メニューにキッシュとサラダのセットランチがあるのですが、最初はサラダのみのメニューでした。


当時、お客さんからは「サラダだけではお腹がすく」「もっと味の濃いものが食べたい」など、いろいろな意見をもらいました。そこで、具材に肉や魚を使ったボリュームあるキッシュを取り入れ、満腹感を得られる内容に変更したんです。

店には珍しい野菜たちが並びます。大根、ビーツ、人参だけでそれぞれ4種類ほど。北部市場で仕入れるそうで、田口さんの義母さんが持ってきてくれることもあるのだとか。



ハング流の“食”の提案「シンプルな料理を遊ぶ」

ーHang out coffeeで田口さんが大切にしていることはなんですか?


田口:Hang out coffeeのコンセプト「シンプルを遊ぶ」です。


星の数ほどカフェがあるなかで、まったく新しい料理を自分たちで生み出すのは難しい。その代わり、「今あるものにどんな付加価値をつけるか」を大事にしています。あえてダサくするのか、違うものを組み合わせるのか……何を“付加価値”とするかはさまざまですが、とにかく普通にはしません。


シンプルな料理に少し色や味を足して“遊ぶ”のが「ハング流」なんです。

世界最小のパスタ“クスクス”(白いつぶつぶとしたもの)がトッピングされた、「ハング流」のサラダ。スパイスで味付けされたクスクスのおかげで、ドレッシングをかけなくても味が感じられます。



「『シンプルを遊ぶ』は、FINEさんのRenameと少し似ているのかもしれませんね」

田口さんはおっしゃいました。


捨てられるはずだった服に“新しい価値”を与えるRename。

たしかに、「シンプルな料理に付加価値を与える」と重なるところがあります。


* * *


田口さんに「Hang out coffee」というお店の名前の由来も伺いました。


「Hangは名詞で『たまり場』、動詞で『遊ぶ』という意味。そこから『お客さんもスタッフも“食”を遊べる、たまり場のようなお店』にしたいという想いを込めました」


「お客さまは神様ではない」。こう言った田口さんですが、お話を伺うなかでお客さんとのコミュニケーションを非常に大事にされていると感じました。(取材中も、ふらりと立ち寄られたお客さんと他愛のない話をされていました。)


お客さまファーストというよりは、対等な関係を築きたい。お客さんと、そしてスタッフさんにも向けられたその想いが、Hang out coffeeを『みんなが集まるたまり場』にしているのです。


-【後編:「“誰かがつくったもの”を捨てちゃいけない」ハングの徹底的に廃棄を減らすメソッド】につづきます。



▼Hang out coffee

住所:愛知県一宮市森本4-6-12

電話番号:0586-58-7486

営業時間:11:00~23:00

※水曜日・木曜日は18:00まで、不定休

※イベント出店など不定期でお休みの可能性あり。最新の情報はFacebookでご確認ください。

HP:http://hangout-coffee.com/top.html

Facebook: https://www.facebook.com/hangoutcoffee.hgc

Instagram: https://www.instagram.com/hangout.coffee/?hl=en


撮影・執筆=中原 愛海





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