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僕が目指すオーガニックのあり方は、「みんなのなかの当たり前」|LaF the organicsオーナー 日比野 忠仁さん・後編


岐阜県多治見市にある、オーガニック素材を中心としたコールドプレスジュースのお店「LaF the organics(ラフ ジ オーガニクス)」。オーナーである日比野 忠仁さんへのインタビュー後編です。


前編ではLaF the organicsを開いた理由や、お店に込めた想いなどについてお聞きしました。


後編は、Renameに対する印象やお店での環境保全への取り組み、日比野さんが目指すオーガニックのあり方についてです。



アパレル販売員として働いていた経験もあって、かねてからアパレル廃棄には関心があったという日比野さん。


廃棄の悩みは飲食店にもつきものですが、LaF the organicsではどのようにして廃棄などの環境負荷を減らす取り組みをしているのでしょうか。

フードロスやプラスチック廃棄への取り組み

ー日比野さんは、Renameのどのようなところに共感してくださったのですか?


日比野:服が欲しい人にエコな形で服の届け方を提案できる、それが新しいなと思いました。「低コストで大量に服が生産され、大量に廃棄されている」というようなニュースは、特にファストファッションが流行ってから、よく見ていました。低コストが実現できる裏には、海外の人たちが低賃金で服をつくっている現状がある。そういう労働問題や環境負荷は、もともと問題意識としてありました。


また、僕は大学時代はリサイクルショップでアルバイトをしていました。なので、二次流通の世界の良さはわかっているような気がしていたし、安く買い取った服を捨てるときはもったいないなと感じていました。


そういう経験もあって、Renameという二次流通サービスには共感できましたし、このRename meetsの取材のお話もすんなり受け入れられました。


ーありがとうございます。アパレルと同様、飲食店も廃棄には悩まされるかと思います。廃棄や環境負荷を減らす工夫はなにかしていますか?


日比野:最近、コールドプレスジュースのカップの素材を、普通のプラスチックから自然に戻る植物原料プラスチックに変えました。


また、コールドプレスジュースになる野菜や果物は、スーパーなどでは売り物にならないものを仕入れています。傷モノやいびつな形のもの、収穫前に落ちてしまったものは、味やつくられる過程は変わらないのに廃棄されてしまうんです。うちではどのみち搾ってジュースになるので、廃棄されるはずだった素材を優先的に選んでいます。


ーなるほど、間接的に農家さんの廃棄削減に繋がるのですね。逆に、まだ取り組めていない課題はありますか?


日比野:ジュースをつくる過程でプレスして出る、素材の残りをどうにかしたいなあと。それはもう紙切れみたいになっていて、利用方法がほぼないんですよ。実際にそれを使って焼き菓子やスープをつくってみたのですが、無味で出汁もでませんでした。唯一の用途としては肥料くらいですが、そういったツテもなくて……。


いろいろ試してはいるけれど、まだ解決策が見つからないのが現状です。

ーイベント出店のときは、廃棄を減らすのはいつもより大変ですか?売れ行きの予測がつきづらそうですよね。


日比野:実は、イベントではコールドプレスジュースはあまり持っていきません。日持ちがしないので。イベントでは、プレスせずに粉砕しただけの野菜や果物にアガベシロップ(低GI値で血糖値が上がりづらいシロップ)を加えて甘みを足し、さらにそれをソーダで割ったドリンクを提供することが多いです。


イベントで持っていくものは余っても店で冷蔵すればまた使えるので、むしろイベント出店の方が捨てるものは少ないですね。

大きなイベントでは1日に200杯売り上げることもあるそう。



自分がいいと思って表現したものが、お客さんに評価してもらえている

ーLaF the organicsさんのジュースのボトルやお店の内装って、すごくオシャレですよね。いわゆる「インスタ映え」な感じがしますが、それもPRの戦略なのでしょうか?


日比野:いえ。「インスタ映え狙ったでしょ」ってよく言われるんですけど、ぜんぜん狙ってないです(笑)。


インスタ映え自体はまったく悪いことではないですが、お店がインスタ映えを狙って商品をつくるのは、僕はめちゃくちゃダサいなと思います。たとえば、自分を歌で表現するミュージシャンが、メジャーデビューするためにメジャー受けする曲をつくるのっておかしいですよね。


自分がいいと思って表現したものが「かわいい」「オシャレ」って写真を撮ってもらえる。それが一番かっこいいじゃないですか。僕らみたいな「つくり手」は、自己表現してそこで簡潔でいいんじゃないのかなと思うんです。


LaF the organicsのインスタグラム(@laf_the_organics)。前前職はアパレル販売員で、仕事以外だったら服のことを一番考えていると言うほど服がお好きな日比野さん。「ボトルのデザインは評判がいいんです。アパレルでの経験が活かされているのかもしれませんね(笑)」


ー日比野さんの信じるものがお客さんに評価されて、結果的にPRになっているのですね。


そうやって意図的でなくともお店が広まると、オーガニックに対してライトな価値観を持ったお客さんも増えてきそう。そういう人たちにオーガニックの良さをちゃんと伝えるためには、どうすればいいのでしょうか?


日比野:そこが本当に難しくて、僕らも試行錯誤しているんです。特にうちはカフェではなくスタンドなので、購入したらすぐに帰られるお客さんが多く、お客さんとゆっくり喋る機会が少なくて。


ーお客さんがお店にいる短い間にどれだけのことを伝えられるか……難しい課題ですね。


日比野:そうですね。でも、オーガニックのことを考えるきっかけがLaF the organicsじゃなくてもいいとは思ってます。たとえば、オーガニックという言葉をどこかで見たときに、「そういえばあそこで食べたマフィン、オーガニックだったな」と思ってもらえる。そんな風に、間接的にでも気づきを与えられたら嬉しいです。


最終的には、オーガニックをみんなの「当たり前」にしたい


ーオーガニックの良さを伝えていった結果、オーガニックがどのような存在になってほしいですか?


日比野:もっとポピュラーなもの、みんなの当たり前のなかにあるものになってほしいです。


たとえるなら、HIP-HOPみたいな状態です。HIP-HOPは80~90年代くらいまでは日本になかったのですが、今では当たり前の文化ですよね。そうなったのは、音楽やファッション、ダンス、グラフィティアートなど、いろいろな角度からHIP-HOPのかっこよさを伝える人たちがいたからなんです。


HIP-HOPを好きな人もいれば嫌いな人もいるし、「かっこいい」と言う人もいれば「もうダサいよ」と言う人もいる。感じ方は人それぞれだけど、HIP-HOPというものはみんなのなかに存在する。そのくらいオーガニックも浸透してほしいんです。


ーそうなると、オーガニックを広めるためにあらゆる方面からのアプローチが必要ですね。


日比野:そうなんです。それこそ今回のRenameさんとのコラボは、“アパレル”や“エコ”からのアプローチということで意識しています。


ほかには音楽イベントなんかもやりたいなと思っていて、多治見のつくり手の仲間で企画しようかと話しているところです。出店するみんなではなく、そのなかの一つにオーガニックがあるくらいでもいいなと思っています。


オンラインストアでは全国から注文が可能です。LaF the organicsのコールドプレスジュースは、素材にもこだわっていながら比較的お手頃な価格。そのため、東京や関西など、コールドプレスジュースがわりとポピュラーな地域からの注文が多いそうです。


ーLaF the organicsの今後の目標を教えてください。


日比野:多治見に来たくても来られない人のために、コールドプレスジュースの販路を拡大していきたいです。たとえばいろいろな地域でイベントに出店したり、ネット販売に力を入れたり。最近は娯楽施設での卸し販売も始めたのですが、そういうお仕事も少しずつ増やしていけたらと思います。


また、多治見のつくり手の人たちと一緒に、多治見を盛り上げていくこともやっていきたいですね。



* * *


オーガニックはなにも、病気でない人に関係ないものではありません。


そうはいっても、日本ではまだまだ浸透していないオーガニック。

みんなの心のなかに根ざしたものになるには、時間もかかるでしょう。


それでも、そういう世の中を目指していく。

日比野さんの想いがより多くの人へ届いてほしいです。


▼LaF the organics

住所:岐阜県多治見市太平町2-5-1

電話番号:0572-88-0183

メールアドレス:info@laf-the-organics.jp

営業時間:10:00~18:00(日曜、祝日、月曜はお休みです)

HP:http://laf-the-organics.jp/

Facebook: https://www.facebook.com/LaF.the.organics/

Instagram: https://www.instagram.com/laf_the_organics/?hl=ja

日比野 忠仁|プロフィール

1985年生まれ、岐阜県多治見市出身。アパレル販売員として3年間働いた後、自動車部品工場に勤務したが、働き方に納得できず退職。以前から興味があり、私生活にも取り入れていたオーガニックのお店を開くことを決意し、2017年5月にLaF the organicsをオープンした。

撮影・執筆=中原 愛海

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