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お茶をもっと、自由にフラットに。|美濃加茂茶舗の店長・伊藤 尚哉さん(前編)


「美濃加茂茶舗」は、岐阜県美濃加茂市発のクラフト日本茶ブランドです。

全国で栽培量が多い静岡や鹿児島では、山間部だけでなく、平地の比較的温暖な地域でも茶葉が多く栽培されています。一方、美濃加茂茶舗の茶葉は、標高600mもある山間部、岐阜県の東白川村で栽培されています。

急斜面であることが多い山間部の茶園は、平地の茶園に比べると管理は難しいですが、厳しい自然条件が育む茶葉は、ほかにはない格別な香りと深い味わいを生みだします。

今回は、美濃加茂茶舗の店長である伊藤 尚哉さんへのインタビュー。美濃加茂茶舗の店長になった経緯や商品に込めた想い、お茶ブランドに対する考え方など、さまざまなお話を伺いました。


偶然に偶然が重なり、美濃加茂茶舗の店長に

ー自己紹介をお願いします。


伊藤:美濃加茂茶舗の店長の伊藤 尚哉です。今年で29歳になります。

もともとお茶とはまったく関係のないところで働いていたのですが、妻のアルバイト先が日本茶専門店だったのをきっかけに、22歳のときにお茶に関心を持つようになりました。そうして、24歳でお茶屋さんに転職した結果、より一層お茶の世界に魅了されることになりました。

そのお茶屋さんで働きはじめて2年ほど働いたのち、2019年に美濃加茂茶舗の店長に就任しました。

ーどのような経緯で美濃加茂茶舗の事業に参画したのですか?

伊藤:お茶屋さんで働いていたとき、もっとお茶の良さを広めようと思い、日本茶インストラクターの資格を取ってイベントの企画などをしていました。

しかし、個人での発信はやはり届く範囲に限界があり……。より多くの方に日本茶の魅力を伝えるには、デジタルマーケティングやSNSのノウハウをしっかり持った人たちと協業しなければならないと考えていた時期に、「あらゆる領域にデジタルシフトを」というコンセプトを持った名古屋の会社IDENTITY主催のイベントに、参加しました。

ーそれはどのようなイベントだったのですか?

伊藤:岐阜県美濃加茂市を拠点とし、多様な人々とのコミュニティスペースをつくる「MINGLE」というプロジェクトのもとに開かれたイベントでした。

そこで、お茶業界で有名な茶師の方とたまたま知り合えたんです。そして、彼が監修する「美濃加茂茶舗」が立ち上がる話を聞きました。

さらに、その発起人がIDENTITYの社長だったのです。

ー美濃加茂茶舗を立ち上げるタイミングで、偶然その3人に繋がりができたのですね。

伊藤:はい。僕もちょうどお茶屋さんに勤めながら「今後どうやってお茶と生きていこうか」と悩んでいた時期で、いろいろな条件が奇跡的に合致しましたね。

そんなわけで、美濃加茂茶舗の店長になり、現在では事業全体の運営も任せていただけるようになりました。

ー発起人の方、茶師の方、そして伊藤さん。美濃加茂茶舗をやっていく上で、3人が共通して持つ想いはありますか?

伊藤:「お茶に触れる機会が少なかった人たちにも、お茶の良さを知ってもらいたい」という想いです。

僕は、畑違いのところからお茶業界に入った人間です。お茶に特別な関心はなかったのですが、お茶の美味しさや産地・品種による味や香りの違いを体感し、日本茶の面白さ、奥深さに魅了されました。

僕たちの根幹には、「お茶の魅力は誰にでも感じてもらえるはずだ」という共通認識があるのだと思います。

誰でも自由に楽しめるお茶を

ー美濃加茂茶舗の商品に対するこだわりを教えてください。

伊藤:お茶の品質はもちろん、お茶初心者の方でも気軽に楽しんでもらえるところです。

メインで販売している煎茶やほうじ茶は、「0度から100度まで、どの温度で淹れても美味しく飲める」をテーマにブレンドされています。

お茶の淹れ方には「約◯◯度で淹れると一番美味しい」のような基本は一応ありますが、日常的にお茶を淹れられる方でないと、そこまで厳密にやるのは難しいですよね。しかし、ペットボトルの水や沸かしたてのお湯でもいいとなると、初心者の方でも気軽に楽しんで手に取っていただけるのではないか、と思ったんです。

SNS発信で意識している2つのこと

美濃加茂茶舗Instagram(@minocamo_chaho

ー美濃加茂茶舗はInstagramやTwitter、noteなどSNS発信にすごく力を入れている印象です。SNS発信にもこだわりはあるのでしょうか?

伊藤:美濃加茂茶舗のコンセプト「1対100よりも、1対1を100回やる」を、SNSのようなオンラインの場でも意識しています。

コンセプト体現の1つとして、お店では目の前でお茶を淹れてお出ししますが、SNSでは投稿を見る人を具体的にイメージするようにしています。その人に「こういう場面でこういう風にこのお茶を楽しんでほしい」というところまで考えて、テキストを練りあげるんです。また、コメントしてくれた方に対してお礼の返信は、ほぼ必ずしています。

そういう小さなコミュニケーションの積み重ねによる、“1対1”の関係づくりは、SNSでも心がけています。

ーオンラインでも対面でも同じように、丁寧なコミュニケーションをとっているのですね。

伊藤:はい。あとは、お客さまと接触する機会を増やすために、投稿量を多くすることです。先日星ヶ丘でポップアップをやったときも常に投稿し、Instagramのストーリーズには常に投稿されている状態をキープしていました。

お茶は、良くも悪くも飲まないと良さがわかりません。どれだけSNSで良い写真を使って美味しさを訴求しても、実際にお客さんに来て飲んでもらえないと意味がないのです。

お茶の魅力を伝える大前提としてまずは認知を得ることが不可欠で、SNSはそのためのツールであるという認識は、しっかりと持つようにしています。

ブランドとブランドの間には個性があるだけで、優劣があるわけではない

ー伊藤さんはほかのブランドのお茶に対して、どういう考えを持っていますか?

伊藤:どっちのブランドが優れているとかは、まったくないと考えています。

どうしても産地の名称ってブランドイメージとして強く持たれがちで、「お茶といえば静岡と京都」とはよく言われます。しかし、あまり知られていませんが、たとえば宮崎のお茶の生産量は全国4位で(出所:農林水産省 大臣官房統計部「令和元年産茶の摘採面積、生葉収穫量及び荒茶生産量」)お茶づくりが盛んな地域です。


お茶には産地によって個性があるだけで、優劣があるわけではない。この考え方はほかのメンバーとも共有していて、ほかの日本茶ブランドや特定の産地に対してネガティブな発言をしないというのは、当たり前の認識として持っています。

ーなるほど。その点は、「ハイブランドであれば良い」という先入観がつきがちなアパレルの世界とも似ているのかもしれません。

伊藤:そうですね。ブランドってそれぞれに良いところがあると思います。安さや素材、見た目、着心地の良さ。それらは、そのブランドの特徴の1つであり、そのブランドならではの良さであるという、それだけの話なんですよね。

ー最後に、Renameのどこに共感していただけましたか?

伊藤:サスティナブルなビジネスの在り方です。

お茶を使ったビジネスは、生産者や自然があってこそ成り立ちます。結果的にそれらに悪影響をおよぼすとなると、回り回って必ずしわ寄せが来ると思うんです。それはアパレルビジネスでも同じですよね。

しかし、Renameは廃棄などのアパレル業界の課題に対してしっかりと取り組んでいます。それは、恩恵を受けている生産者や自然に悪影響を与えるのを防ぎ、良い循環をつくりだすことに繋がります。そこが共感できる部分でした。


* * *


美濃加茂茶舗をやっていくことで、

もっと多くの人にお茶の魅力を知ってもらいたい。

伊藤さんは美濃加茂茶舗と出会い、

自身のお茶との生き方を見つけました。

後編では、より詳細な美濃加茂茶舗のお茶事業や、

Renameとの関連性などついて伺いました。お楽しみに。

▼美濃加茂茶舗 ※現在店舗営業は休業中、オンラインストアは利用可能

HP:https://mchaho.com/

オンラインストア:https://store.mchaho.com/

Instagram:@minicamo_chaho

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note:https://note.com/minocamo_chaho

インタビュー=久松 成吏

執筆=中原 愛海


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